■ 盂蘭盆会(うらぼんえ)

 お盆という言葉は「盂蘭盆(うらぼん)」という仏教用語が短くなったもので、古代西アジアの言語で「霊魂」を表す「ウルヴァン」が語源という説が有力です。
 ご先祖様への供養を通じて、生きとし生けるものすべてに供養を施し、幸福を願う行事です。
 お盆の供養の形は地域やお家によって様々ですが、当院では大きく次のように供養します。

1、お施餓鬼(お寺にて)
 ご先祖様がお盆に無事帰って来られるように餓鬼への供養をあげます。
2、お墓参り
 お墓を掃除し施餓鬼旗をたて墓前に餓鬼が寄らないよう供養します。
3、迎え火
 精霊棚を準備し棚経の前晩までに玄関先で迎え火を焚きます。
4、棚経(お宅にて)
 ご先祖様をお迎えした精霊棚(ご仏壇)へ直接お経をあげに伺います。
5、精霊送り
 十五日晩に地域の送り場所にて盆飾りを納めご先祖様をお送りします。


■ お施餓鬼(おせがき)

 お釈迦様のお弟子さんが餓鬼道に落ちてしまった先祖を救う為に始めたとも、餓鬼から自身が狙われないように供養したとも言われ、その起源は諸説ありますが、その供養の中心は字のごとく「餓鬼への施し」です。
 私たちのご先祖様が餓鬼に邪魔されることなく無事にお盆に帰って来られるように、普く十方の餓鬼に施し供養することで、ご先祖様を護り、お家の安泰と幸福を願います。どうぞご家族ご親戚でお参り下さい。
 お施餓鬼のお供えに「米枕」と呼ばれるものがあります。これは瀬戸地方独特のお供えで、餓鬼への供養に欠かせないお米をさらしに詰め、男性のご先祖様なら三角に女性のご先祖様なら四角に縫って、枕のような形にしてお供えします。
 これ以外に夏にちなんだものをお供えします。すいか等の夏の果物やそうめん冷麦のような夏の食べ物が多いようです。
 お施餓鬼をおつとめ下さると五色の旗をお授けします。これには佛様のお名前が書かれており、その功徳は餓鬼を払い、ご先祖様をお護りするものです。お墓参りとともに墓前に立てて供養して下さい。まだお墓のないお家は精霊棚にて供養して下さい。


■ 迎え火(むかえび)

 一般に十三日の晩に焚くことが多いですが、初盆などではもっと早く一日頃からお迎えすることもあります。棚経の時にはお迎えできていることが大切ですので、棚経の前晩に迎え火を焚くとよいでしょう。
 ご先祖様に目印となるように玄関先などで焚き、そしてその灯火をご先祖様をお迎えする精霊棚に移します。


■ 精霊棚とお供え

 ご先祖様をお迎えするには精霊棚を準備します。これはお家によって様々な形がありますが、多くは真菰を編んだゴザを台に敷き、そこにお膳やお供え、香炉やロウソク立てを置き、ご仏壇からお位牌を移します。
 通常、ご仏壇とは別に設けますが、ご仏壇を飾ってお迎えする形もあります。ご仏壇の前机にゴザを敷いたりしてお位牌を前の方に出しましょう。
 お供え物としては主に次のようなものをお供えします。
・水の子(洗米とさいの目に切ったナス、キュウリを混ぜたもの)
・すいかやそうめんなど夏の食べ物
・ホオズキ(提灯にみたて枝つきで)
・水向けのお水(水をいれた器にミソハギの花をそえる)
 お盆の間はご先祖様がそこにいるかのようにもてなします。生前の好物など思い思いのお供えをしましょう。


■ 精霊送り(しょうれいおくり)

 十五日の夕方、ご先祖様の精霊をお送りします。古くは川や海に灯籠とともに盆飾りを流したことから精霊流しとも呼びます。
 現在は川に流すことはできませんので、地域の送り場所にて盆飾りを納めます。村墓や川沿いを中心に設けられることが多いです。市により異なりますので、役所等へお問い合せ下さい。